書物

Judith Ortiz Cofer An Island Like You

ニュージャージーのプエルトリコ出身者が多く住む地区を舞台にした短編集。主人公達は15,6歳のプエルトリコ二世。両親は島を恋しがるけど、本人達はアメリカ育ちだしスペイン語も上手く使えない。全ての短編が家族との和解とか、主人公達の成長で終わるので…

川村湊『日本の異端文学』

日本の異端文学、は西洋の異端文学とは違う。かといって何かと言えばそれは著者もいいあぐねている感じ。高尚じゃないけどおもしろい、大げさだったりエログロだったりする、そんな感じでしょうか…。 著者の分析を楽しむ、というよりもブックガイドとして有…

酒井邦秀『快読100万語!ペーパーバックへの道』

絵本レベルから始めてGraded Readerや児童書などを利用して語数を徐々に上げ、ペーパーバックを普通に読めるようになるまで続けるという勉強法。辞書は引かず、文法書も参照しない。とにかく文脈から英語が体に染みこんでいくのを待つ。 口を極めて学校英語…

安井京子『女は英語でよみがえる―語学で再就職する必勝ガイド』

デザインとタイトルのせいで電車で読むのが恥ずかしいが、良書。勉強法部分ももちろん、「女性が働くとはどういうことか」を考えるのにもいいと思う。著者は都内で中学校の英語教師をしたあと、旦那の転勤で富山に引っ越し。そこから英語を生かしてどうキャ…

佐野眞一『渋沢家三代』

感想書くのが面倒だけど書かないと忘れてしまう。 幕末から満州事変頃までの時代を経済人として生き抜いた渋沢栄一から始まり、放蕩に明け暮れて勘当の憂き目を見た篤二、日本民俗学のパトロンの役割を果たした慶三まで、渋沢家三代の歴史。 古き良き日本(…

鴻巣友季子『明治大正 翻訳ワンダーランド』

明治二十年代あたりからの翻訳ものを追った本。黒岩涙香の翻案(翻訳ではない)は何と一回読んでから、読まずに記憶に頼って(!)書いていたものらしい。青空文庫で一冊読んだことあるけど、舞台がロンドンとかなのに名前が「松子」だったりでおかしかった…

米原万里『ガセネッタ&シモネッタ』

通訳やロシアに関する短いエッセイを集めたもの。全体に口悪いね。 ロシアでは、共産主義が崩壊する前は文学書が飛ぶように売れたが、今は「猫の飼い方」とか「女心」についての本(詳細は覚えてない)ばかり売れて、小説は全然売れなくなっているという話が…

マーク・カーランスキー『1968 - 世界が揺れた年(後編)』

返却期限を過ぎていたので一昨日慌てて読了。 パリ五月革命、ビアフラ内戦、シカゴの混乱、トラテロルコの大虐殺を経て、ニクソンがアメリカ大統領となり、締めは月への着陸。月への着陸とかであっさり美しくまとめないでおくれよ、という感想を持った…。あ…

杉浦さやか『スクラップ帖のつくりかた』

何ヶ月か前にジュンク堂で平積みになってて、気になっていたのだが今日ジュンク堂に行って急に思い出し、探し回る。名前も覚えていなかったからなかなか見つからなかった。 中身は、旅のノートや、お買い物ノートや、引っ越しノートなど、著者の作ったさまざ…

齋藤一『帝国日本の英文学』

帝国日本の英文学作者: 斎藤一出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2006/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (32件) を見る

マーク・カーランスキー『1968−世界が揺れた年(前編)』

1968年当時に二十歳だった著者による、構想十年渾身の作らしい(カバーの裏より)。 ベトナム戦争、公民権運動、チェコスロバキアの政治的変化、プラハの春、パリの五月革命、メキシコのトラテロルコの大虐殺、とさまざまなことが起こった年が1968年であった…

長谷川イザベル『共和国の女たち−自伝が語るフランス近代』

パリのお針子、ブルジョワの令嬢、農村に生まれ育ち小学校教師になった女性、ジャーナリズムで活躍した女性の四人の自伝を元に、各時代のフランス女性の生き方をまとめたもの。冒頭は著者の家族の女性(母や祖母、自分自身)を紹介している。 女性にはろくに…

ギルバート・アデア『ドリーマーズ』(ネタばれしています)

シネマテーク・フランセーズで知り合ったテオ、イザベル兄妹とマシューは事務局長ラングロワがくびになったために、シネマテークが閉館しているのを目にする。マシューは二人からいつか拒絶されてしまうのに脅えており、シネマテークが無くなればもう会えな…

Judith Ortiz Cofer, An Island Like You

AN Island Like You: Stories of the Barrio作者: Judith Ortiz Cofer出版社/メーカー: Puffin発売日: 1996/12/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見るプエルトリコ系の著者による短編集。ヤングアダルトなのかな?かなり読みやすい。…

柴田三千雄『フランス史10講』

フランス史の概論をつかもうと読んだけど…教科書的なものを期待していたので難しすぎた。「一般的な歴史観」として著者も書いているわけではなく、あとがきにあるように、著者それぞれの見方がにじみ出た通史、であるわけで、手っ取り早く歴史をざっくりつか…

ギルバート・アデア

パリの五月革命関連の情報を漁っていたら行き着いた。『ポストモダニストは二度ベルを鳴らす』という本のタイトルには確かに聞き覚えがある。もろにポストモダンでしちめんどくさそうなのであまり深入りしたくないけど、『ドリーマーズ』は読んでみようかな…

池内紀『姿の消し方』

姿の消し方 幻想人物コレクション作者: 池内紀出版社/メーカー: 集英社発売日: 1998/11/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る最近二ヶ月くらい本の感想を書いてなかったから、何書いていいのか分からん。おもしろい/おもしろくないで切るの…

管啓次郎『コヨーテ読書』

コヨーテ読書―翻訳・放浪・批評作者: 管啓次郎出版社/メーカー: 青土社発売日: 2003/03メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (7件) を見るフランス語や英語やスペイン語からたくさんの本を日本語に訳している翻訳者であり、またクレオール研…

沢寿郎『鎌倉史跡見学』

前述『京都史跡見学』に似ているが、より観光案内風になっている。時系列順に縁の場所を辿る一章、神社仏閣を宗派別に見て回る二章、文化全般を述べた三章から成る。語り口もやさしく、とっつきやすい。鎌倉史跡見学 (岩波ジュニア新書 7)作者: 沢寿郎出版社…

村井康彦『京都史跡見学』

ジュニア新書の読書録と化している。史跡見学、と銘打っているが、史跡を手がかりに歴史の細々としたところを述べた本と言ったほうがいいかも。京都が最新鋭の都であった平安時代から室町までと、その後、最先端の都という地位を失い「古都」として、観光地…

新書

ジュニア新書最高。歴史や地理(特に現代)は「やっぱり岩波だな!」という大変主張を感じるものが多いけど、中高生向けということで分かりやすいし、あまり細かい話はしないし、少し興味があるとか勉強しなきゃいけない分野を知るにはぴったり。「ちくまプ…

村井康彦『日本の文化』

時系列に、重要な日本文化のトピックが並んでいる。女流文学、日本の仏教、お茶など、大事なことがコンパクトに分かって便利だった。同じ著者の岩波新書も読もうかと思ったが、やっぱり大人向けだとそれほどさくさく読めなさそうだったので中止。日本の文化 …

今谷明『戦国の世』

あまりに込み入っていて訳が分からない。新書一冊で飲み込もうとするには無理があるらしい。「信長の野望」をやりこんだ人は戦国時代に妙に詳しかったりするが、ゲームするのがいちばんいいのかもしれない。あとは、歴史小説を読みまくるとかね。戦国の世―日…

『日本の神々』

全国の神像を紹介する。神宿る場所をめぐる。神々へのお供えを紹介する。と大体三部分に分かれている。日本の神道を体系的に紹介する本ではない。芸術新潮を組み直した本らしく、写真が豊富できれい。神々へのお供えは普段見れるものでもないし、目にも鮮や…

五味文彦『武士の時代』

またジュニア新書… 鎌倉時代から応仁の乱直前まで。文化面社会面にも目配りされてて頭を整理するのによかった。これでジュニア新書の日本の歴史シリーズは四冊読んだ。武士政権であった鎌倉幕府も室町幕府も、天皇という権威を利用して統治していたわけで、…

「火宵の月」

ブックオフに行く。思わずマンガを読んでしまう。ララに連載されていた(今もかもしれない)「火宵の月」を途中まで。線が細すぎてあまり好みの絵柄ではないのだけど中身がなんともララらしい。ララに載っているマンガは両性具有とかあるいは性が未分化とか…

小松和彦『京都魔界案内−出かけよう、「発見の旅」へ』

魔界をキーワードにした京都案内。きっとこの本なしでは、訪ねたところで何この小さな神社?となってしまいそうな場所も載っている。由来や説話の紹介に加えて、ガイドブックらしく所在地や御利益、お祭りの日にちも載っているので頼もしい。 このうちのいく…

水野敬三郎『奈良・京都の古寺巡り−仏像の見かた』

京都と奈良にある、教科書にも出てるような有名な仏像を見るガイドブックなのだが写真が少なくて説明が細かいので、単に読むのは厳しい。ひととおり読んだあとで、この本を手に実際に見に行くにはいいのだと思う。詳しすぎ?と思う部分もあるので写真のいっ…

立川武蔵『日本仏教の思想−受容と変容の千五百年史』

「日本仏教の思想」というタイトル通り、仏教の思想的な面に立ち入って話が進むので難しい。著者はインド哲学が専門のようなので、たびたびインドの仏教の話が出てくる。文章そのものではなく、哲学に触れた部分の中身が難解。 著者は日本仏教は最澄・空海を…

松尾剛次『仏教入門』

仏教の誕生から現在まで、コンパクトにまとめてある良書。分かりやすい言葉遣いで仏教に縁がなくとも安心。特に、古代から鎌倉新仏教までの説明が詳しいので、ガイド試験などの前に頭を整理するのにぴったりかと思う。巻末に索引まで付いていて便利すぎる。 …