小松和彦『京都魔界案内−出かけよう、「発見の旅」へ』

魔界をキーワードにした京都案内。きっとこの本なしでは、訪ねたところで何この小さな神社?となってしまいそうな場所も載っている。由来や説話の紹介に加えて、ガイドブックらしく所在地や御利益、お祭りの日にちも載っているので頼もしい。
このうちのいくつかは行ったことがあるのだが、本で読んだ方がおもしろいっていうのもつまらない話である。上御霊神社はいわれを少し知っていたのもあって、昼間だったのに一人で怖くて入れなかった、というのを思い出した。夏のよく晴れた日で、思えば上御霊神社から自転車で十分、御所に至っては歩いて五分くらいのところに住んでいたのだった。そのわりに何も見ていない。しかしながら、霊的スポットとか、お祭りとか、住んでいても、根を張っている人でないと、なかなか実感できないものなのではと思う。京都には四年もいたけど学生街をうろついていただけだからな。
余談だけどスペインへの憧れのもととなった堀田善衛『スペイン断章』をはじめ、四方田犬彦の一連の旅エッセイなど、海外を旅するものにはたくさん好きな本があるのに、日本の国内を旅するものに好きな本がない。それ以前に読んだことがないのかもしれない。日本を旅行する外国人のエッセイ(明治とかでなく現代のもの)があったら読みたい。

京都魔界案内―出かけよう、「発見の旅」へ (知恵の森文庫)

京都魔界案内―出かけよう、「発見の旅」へ (知恵の森文庫)