佐野眞一『渋沢家三代』

感想書くのが面倒だけど書かないと忘れてしまう。
幕末から満州事変頃までの時代を経済人として生き抜いた渋沢栄一から始まり、放蕩に明け暮れて勘当の憂き目を見た篤二、日本民俗学パトロンの役割を果たした慶三まで、渋沢家三代の歴史。
古き良き日本(明治維新から戦争終結までくらいの)を懐かしむムードが端々に顕れている。栄一は世の移り変わりをたくましく生き抜き、というよりもむしろ移り変わりを作ってしまったくらいのスケールの大きさで、息子と孫はその大きさにひたすら押しつぶされた存在でもあったようだ。栄一は、会社を興しまくり、日本の経済発展について信念を持ち思うところを実践する表の顔もさることながら、妻妾同居、子供は嫡出庶出合わせて二十人くらいという個人としての顔もすごい。
今の日本にはいない人材だと嘆きたくなるのは確かだけども、明治維新から昭和にかけての時代背景があったからこそ生まれた逸材だったのだと思う。
同じ渋沢一族(澁澤龍彦とか)の話も載っていておもしろい。

渋沢家三代 (文春新書)

渋沢家三代 (文春新書)