Judith Ortiz Cofer, An Island Like You

AN Island Like You: Stories of the Barrio

AN Island Like You: Stories of the Barrio

プエルトリコ系の著者による短編集。ヤングアダルトなのかな?かなり読みやすい。

  • "Bad Influence"
    • 友達と示し合わせて男の子の家に泊まったことで、プエルトリコのおじいちゃんおばあちゃんの家に一夏送り込まれた15才の女の子の話。「都会の子が田舎で一夏を過ごすことで生き生きとした子に変わる」みたいなのは日本でもドラマとか小説とかでよくあるけど、そんな感じ。到着したときにはプエルトリコの人々の過剰な感情表現、噂好き、プライバシーのなさ、何もかも遅れていることに不満ばかりだが、民間療法士のおじいちゃんの仕事に関わって、拒食症の女の子を知ってから、おじいちゃんおばあちゃんを理解できるようになり、すっかり島の生活を楽しむようになる。ついにはプエルトリコの高校に通うことまで考える、って、それはあまりにもすごいよ!そのあたりが泣きが入らなくてあっさり楽しくてよいかもしれない。日本のドラマなら、一夏過ごしてまず都会に帰ると思う。最後は田園風景を眺めながら涙の別れをしたりすると思う。あーでも、一夏過ごすのが「田園風景の広がる日本の田舎(本州のどこかとかだろうか)」ではなくて、沖縄の離島、だったらそういう結末があるのかもしれない。プエルトリコと沖縄を重ねてみたりするような研究っていくらでもありそうな気も…。
  • "Arturo's Flight"
    • なぜかfrightenの名詞形かと思っていたが、flyだよな…。高校一年生のArturoはまわりの他の生徒たちになじめず、違和感を感じている。ある日、John Donneの詩"The Flea"を暗唱させられたのをきっかけに(Arturoは詩が好き)、ロッカーに"Flea"とスプレーで書かれるなどのいじめを受ける。家も高校の仲間と同じところに住んでいるので、家に帰っても気が休まらない。"Flea"以外の名前で同級生に呼んでほしくて髪を紫色に染めても"purple flea"とからかわれるばかりで、家族もその髪型を見て大騒ぎとなり、ついにキレたArturoはシェイクスピアの詩集をゴミ収集車に投げつけ、家を出てしまう。家を出た先で母親行きつけの教会でJohannという老人に出会う。彼に迎え入れられ、戦争で息子を失い、アメリカに移住し、数年前に妻も失って孤独になった人生の物語を聞いて自分の悩みが小さなものに思え、家に帰って詩集を救い出すことにする…。それ以来、この教会とJohannは彼の安らぎの場所となった。
    • この作家は「ええ話」が得意なのかな。文化の衝突、と言うテーマでもなく、同じくティーンエージャーを主人公にしたSandra CisnerosのThe House on the Mango Streetなんかもっと意地の悪い感じがするし読後感も希望はあるけどもっとシビアな感じがする。
    • Shakespeare, "Sonnet CXII"
    • John Donne, "Flea"
  • Judith Ortiz Cofer関連のサイト