書物2008

054 堀井和子『朝ごはんの空気を見つけにいく』

会社の近くの本屋で見つけたので買った。今日は給料日なのでつい財布の紐が…。アマゾンのレビューなど見ると、読むとジャムが作りたくなるとかそんな感じだったので、いろんな人のおいしい朝ごはんレシピ満載かな、と読んでみたら違っていた。献立は出てくる…

053 フラナリー・オコナー『賢い血』

わからん。だけど細かい描写には引き込まれる。テーマとなっているものは全然理解できなかったけど…。それは信仰がテーマだから、と逃げたいけどそうでもないのかもしれない。 いちばんおかしいのはヘイズかもしれないけど、いちばんまともに描かれているの…

052 木下是雄『理科系の作文技術』

理科系の仕事の文章としてよい文章を書くには何に注意するべきか?を懇切丁寧に教えてくれる本。発表の仕方についてまで指導してくれる。パソコン普及前の1981年に書かれた本であるため、文中に出てくる機械が古臭いが(OHPとかスライドとか)、内容は色あせ…

051 滝川洋二編『発展コラム式中学理科の教科書 第1分野』

高校物理の本を買ったのだがほとんど理解できなかった。そもそも読み進める根性すらなく…。本屋で平積みのこの本を見て即購入。検定教科書の中身をさらっと説明し、そのあとで発展コラムで現代人が世界標準で必要と思われる知識を網羅している。先に進みたい…

050 『翻訳を学ぶ人のために』

翻訳をめぐる座談会、実践的な翻訳文法の指南、ジャンル別翻訳の実態、翻訳によって形作られた日本語、日本の文学、翻訳者への道、と盛りだくさんの内容がコンパクトに一冊に!各章ごとに参考文献の一覧もあり便利。また読むべき本が増えてしまった。本を読む…

049 神崎宣武『おみやげ―贈答と旅の日本文化』

外人にとってかなり興味深いらしいおみやげ文化。会社など、おみやげ三昧だなあ。まさに義理の世界。「みなさんでどうぞ」とちゃんと人数分そろったものを買わなければならないので、小袋に入っているもの、饅頭のように1つ1つ包装してあるもの、そして適度…

048 原武史『大正天皇』

「遠眼鏡事件」が有名な大正天皇に関する評伝。明治維新から国家の黎明期を乗り切り、日本を帝国として君臨する側に作り上げた明治天皇と、大日本帝国として戦争に臨み、敗戦したものの象徴天皇としての治世のうちには日本は経済大国として生まれ変わった昭…

047 エンリーケ・ビラ=マタス『バートルビーと仲間たち』

読み通すのが非常に苦痛。小説はただ物語であってほしい、それがポストモダンしていたとしても物語としておもしろければ好きなのだが。これは個人的な好みなので、書くとは何かについて考えることが好き、とか、バートルビーと言うキャラクターに惹かれてや…

046 村上春樹、柴田元幸『翻訳夜話』

一日一冊を目指していたのだが挫折した。 仕事の本も読まなければいけない、と趣味と実益のあいだで趣味寄りのものを読む。 図書館に返してしまったので手元にないから正確ではないかもしれないけど、著者の経歴とか性格とか、時代背景とかは、翻訳する際に…

045 野口恵子『かなり気がかりな日本語』

ついうっかり日常会話に混ぜがちな「外国人に教える教科書には載っていない日本語」がたくさん載っており、自分の使っているものも多く反省する。「基本的に」とか「逆に」とか。相手の察しを要求する文章を途中で止めるしゃべりはやめたほうがよいと思って…

044 山崎美緒『マンゴーと丸坊主』

日本人女性で初めてアフリカを単独自転車縦断したその旅行記録。ノリよくテンポよく大阪人らしいしゃべりで笑いも盛り込み読みやすい。地元での溶け込み方がすごい。言葉が少し話せるからといって溶け込めるかというとそういうものではないと思うので。 アフ…

043 平安寿子『Bランクの恋人』

会社の人が貸してくれた。「ゲイの話なんですよー」というので、「BL?」と思ったら違っていた。 ヨメと嫁ぎ先の人間とのバトル、という話が苦手(渡る世間は鬼ばかりなど)なので、最後の「サンクス・フォー・ザ・メモリー」は読めないかも、とひるんだけど…

042 保阪正康『皇后四代』

皇室の人々に関する書き物をまともに読んだのは初めてかもしれない。多分そう。 これこれという事件のときに、天皇は何を考えていたのか、ということが本人の口から語られることはないということに改めて驚く。「当時の側近であっただれそれにこのように仰っ…

041 松本道弘『上級を目指す英会話』

「英語道」を推進するだけあって、武道か何かの教科書のような趣がある(狙ってるのだと思う)。煽動する書きぶりなので引いてしまったり、反感を覚えたりする箇所が多くあった。あまりにもこの人は英語にはまりすぎなのではないか?と思ったり…。しかし、こ…

040 志村文夫『文科系のための科学・技術入門』

正直期待はずれ。文学や哲学の話をわざわざ持ち出さなくても大丈夫だよ!と思ってしまう。半導体についてもう少し勉強しなければいけないことがよくわかった。 「拙書」の宣伝をしすぎているところもいまいち。書き方はやさしいので「拙書」を読んでみたらよ…

039 鈴木主税『私の翻訳談義』

言葉を一対一で対応させていくのは翻訳ではない、背景知識があって内容を理解しなくては翻訳はできない、と耳の痛い話ばかり。だがそれはそうなのだ。翻訳者になる前の下積みの現実(十年位前の話だけれど)、編集者との関係など、「翻訳者になりたい!」と…

038 小川和夫『ソ連解体後』

ソビエト連邦解体後のバタバタを経済の観点から述べた本。まだエリツィンががんばっていたころらしい。まだ小学生くらいであまり記憶にないが、その頃空っぽのショーケースに人が長蛇の列、という映像は流れていたような気がする。ロシア語関係者の友人によ…

037 ジェニファー・テイラー『キプロスの花嫁』

初ハーレクインですよ。「ブックオフで見かけたら買ってみようかな」と棚を探したらいきなりあったので購入。棚に並ぶラインナップを見ると、「地中海」「シチリア」「ナポリ」「スペイン」など、地中海関連の地名が目白押し。北方の人の地中海への憧れを感…

036 松本健一『司馬遼太郎が発見した日本』

朝日新聞社から「ビジュアル版 司馬遼太郎『街道をゆく』」を週刊で出していたものに、毎号ついていた解説を集めたものらしい。だから付録を集めたみたいでいまいち本の中身が分からない。面白そうだ読んでみようともあまり惹かれない…。司馬遼太郎の各著作…

035 青山南『ピーターとペーターの狭間で』

80年代後半に書かれたものに、90年代初頭に手が加えられている。だからだと思うけど、全体に少し古い感じがする。文体とかか?こないだ読んだ柴田元幸の本も今から10年位前だから今の高校生とかが読んだらもしかしたら少し古いのかもしれないけれどそう感じ…

034 絲山秋子『エスケイプ/アブセント』

二人はすぐそばで、同じ時間にすれ違ったかに見えて、実は互いにアブセントなままである。エスケイプ/アブセント作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/12/01メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (93件) を見る

033 柴田元幸『生半可な學者』

たぶん柴田先生の好きなものはそんなに好みではないのだと思う。でもこの本読んでると食指が動く。あと日本語でも言葉と楽しく遊べる人じゃないと文学の翻訳などできないのだろうなと感じた。生半可な学者―エッセイの小径 (白水Uブックス)作者: 柴田元幸出版…

032 中村逸郎『ロシア市民―体制転換を生きる (岩波新書)』

プーチン登場前夜のロシアにおける市民生活、年金生活者からニューリッチまで。なんというか「岩波だな!」という印象。民主主義ってなんだろうか。ソ連時代のほうが熱心に働いても働かなくてもそれなりに食べていけるし、意外と楽でよかったのかもしれない…

031 三浦清美『ロシアの源流―中心なき森と草原から第三のローマへ (講談社選書メチエ)』

ロシア通史をそれなりに知っていないと難しい。高校のときに習ったのってどのていどだったのか、と教科書を見てみたら、中世の記述は正教の受容とイワン雷帝くらいだった。そりゃ知らないはずだ。 カトリックと正教の狭間にあって異教を貫き、それを逆手にと…

030 中島岳志『ヒンドゥー・ナショナリズム―印パ緊張の背景』

現代において、倫理の崩壊に問題意識を抱き宗教を求める心情に共感を抱き、大きな変化を遂げつつあるインドにおいてインドの文化を見直しながら広範な活動を行う愛国主義的団体を調査するも、それがナショナリズムへと回収されることには疑問を覚えるという…

029 四方田犬彦『旅の王様』

昨日帰宅後、続きを読んでたら寝るのがまた遅くなってしまった。 四方田氏に関して、わたしのお世話になった人は断固「否」であった。その方には言えないけどやはり好きだなあ。特に旅に関するものが好き。 いつも氏の著作を読んでいて気になるのだが、女友…

028 廣岡正久『ロシア正教の千年−聖と俗のはざまで』

ロシア本第三弾。 988年に東方キリスト教を受洗してより、権力と時に結びつき時に権力に迫害されたロシア正教を追う。 正教もロシアの歴史もほとんど知らないまま読むのは厳しかったかも。語り口は平易で分かりやすいのだが。この本が書かれてから十年以上が…

027 澁澤幸子『キプロス島歴史散歩』

キプロスの歴史などを紐解きながらキプロスの各地を案内。著者は澁澤龍彦の妹らしい。が、澁澤龍彦のおぼろげな影響でもあるのではと読み出すと、その天真爛漫さにくらくらする。歴史の暗部を文学的な言葉でつづったりはしておらず、いい意味でも悪い意味で…

026 西山千 松本道弘『同時通訳おもしろ話』

日本の同時通訳第一人者西山千と、その弟子を自任する松本道弘の対談みたいな本。二人が英語で行った対談の一部を収録したCDつき。 西山氏はアメリカ育ちで、現地の大学も出ているので英語はほぼネイティブなのだが、日本語には努力が要ったようだ。「仕事で…

025 袴田茂樹『現代ロシアを読み解く−社会主義から「中世社会へ」』

ロシアは国家との関係、人との関係は、プライベートなものを除けば基本的に信頼は存在しない「低信頼社会」であり、無秩序が支配する「バザール社会」である。それは、日本やヨーロッパが経験したような、契約関係に基づく「封建主義」がかつて存在したこと…