025 袴田茂樹『現代ロシアを読み解く−社会主義から「中世社会へ」』

ロシアは国家との関係、人との関係は、プライベートなものを除けば基本的に信頼は存在しない「低信頼社会」であり、無秩序が支配する「バザール社会」である。それは、日本やヨーロッパが経験したような、契約関係に基づく「封建主義」がかつて存在したことがないことが大きな要素である。ということを軸に、帝政末期から現在のプーチン政権までを見通し、分析する。わたしはロシアには暗く、「コルホーズ」「ソフホーズ」という言葉を呪文のように暗記したが何か分からないそんな感じだがおもしろく読めた。ちなみに政治経済にも暗い。
日本ほど物事が予定通りに動く国はまれであろう。その対極にあるのがロシアらしい。「国家は大企業や新興財閥が支配しており、法の遵守は無意味」に対して、「そう思う」86%…。今日本ではいろいろなものに対して信頼が崩れてきているといわれているし、実際そうかもしれないが、本気でそこまで思っている人は少数ではないだろうか。旧ソ連崩壊後は、犯罪組織が雇われ用心棒になり、しまいにはコンサルタント化して秩序の維持に一役買っているという展開もすごい。もちろんそこに、国家権力の中から役人やKGBも参加し、お金を稼いでいるという。つまり警察が一企業のために一肌脱ぐ状況…。
人間としての魅力はロシア人はものすごいという記述も目を惹いた。友達がモスクワに留学するらしいし、そのあいだに一度行ってみたい。とても一人で行ける場所ではないしロシア語も分からないのに怖すぎる。