042 保阪正康『皇后四代』

皇室の人々に関する書き物をまともに読んだのは初めてかもしれない。多分そう。
これこれという事件のときに、天皇は何を考えていたのか、ということが本人の口から語られることはないということに改めて驚く。「当時の側近であっただれそれにこのように仰った」ということの真意を、その側近の聞き書きから組み立てる。さらには、「皇后は当時身の回りの世話をしていた誰それにこのように漏らしたのを、その誰それと親しかった某に語った」と某からの情報が持ち出されてそれに分析が加えられる。一般の人間の目からは、天皇家の人々の個人の意見が一切消し去られている。それが、最近にじみ出つつあるために、今の皇太子に批判の矢が向けられるのかもしれない。