027 澁澤幸子『キプロス島歴史散歩』

キプロスの歴史などを紐解きながらキプロスの各地を案内。著者は澁澤龍彦の妹らしい。が、澁澤龍彦のおぼろげな影響でもあるのではと読み出すと、その天真爛漫さにくらくらする。歴史の暗部を文学的な言葉でつづったりはしておらず、いい意味でも悪い意味でも無邪気な感じ。読みやすいし、キプロスのこともちょっと身近になる、キプロス入門編として最高の本であると思うけど、「キューピッドの矢を四方八方に放ってギリシャ系とトルコ系が次々に恋に落ちれば平和になるのに!」みたいな文章には仰天しました。先に読んだ人から、「女子学生が書いた日記のような感じ」という話を聞いていたのだけど、確かにバックパッカーで一人旅している女子大生が現地の人との交流をつづるブログとかにノリは似ていそうである。
アマゾンのレビューを見ると、作者はトルコ研究家だけあってトルコびいきの視点らしいので、ギリシャ側からのものも読んでみるとよいのかもしれない。

キプロス島歴史散歩 (新潮選書)

キプロス島歴史散歩 (新潮選書)