048 原武史『大正天皇』
「遠眼鏡事件」が有名な大正天皇に関する評伝。明治維新から国家の黎明期を乗り切り、日本を帝国として君臨する側に作り上げた明治天皇と、大日本帝国として戦争に臨み、敗戦したものの象徴天皇としての治世のうちには日本は経済大国として生まれ変わった昭和天皇との間にあって影が薄い上によくない噂がいろいろとあるらしい大正天皇の実像を追う。生まれたときから病気がちで幾度も生死の境をさまよい、勉強も遅れがちで落ち着きがなく、明治天皇および昭和天皇と比べると人間的で威厳に欠ける。他方でその辺にいた人にも気さくに話しかける親しみやすい人柄、子煩悩な父親ぶり、臣下ともくつろいで話す飾りのなさ、と少し変わっているかもしれないが楽しい人柄だったのではないかとうかがわれる。
- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2000/11
- メディア: 単行本
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