ケッセル『昼顔』*3

「霊と肉」という言い回しが古いものに思えたが、「心と体の乖離」などと言い換えれば今でもありそうな話か。人妻が病に倒れたのをきっかけに、内に潜んでいた欲望に目覚めて「昼顔」という娼婦になるが、夫を愛する気持ちには何の変わりもない・・・。主人公を男にしたらどうなるんだろう、と思ったので考えてみたけど、男性が妻とでは得られない快楽を別の女に求めても物語にもならないのかもしれない。高級住宅街に住む成功した若夫婦、美しく優しく聡明な妻に心を満たされながらも、肉体的には満たされないものを感じて夫は男娼に・・・。愛人を作るとかじゃなくて、男性が受け身?になるならありなのかな。
しかしこの本の結末はあんまりではないかと思う。ここまで罰しなくてもよいのではないかとか。