003 Cueto, Alonso. La hora azul

ペルーの小説。
アドリアンは成功した中年の弁護士である。全てにおいて完璧な妻、かわいい二人の娘、裕福な義理の両親に囲まれて、リマの高級住宅街で豊かな生活を享受している。問題があるとすれば、下品な兄と、粗暴なふしのある元軍人の父親だけであるが、兄はアメリカに住んでおり、父親と母親は離婚しているため、彼らとほとんど関わることはなかった。母親は上品な上流の婦人であり、アドリアンはこの母親と自分が同じ人種だと思っていた。ある日、母親が亡くなり、兄がアメリカから帰ってくる。兄と家族について話すうちに、アヤクチョでのエピソードを聞く。当時アヤクチョではセンデロ・ルミノソの掃討作戦を行っていたのだが、センデロ・ルミノソだけではなく、軍人も乱暴狼藉をはたらいていた。父親は普段は女性をさらって自分が楽しんだあと、部下に「与え」、その後殺していたのだが、一人だけ部下に与えず殺しもせず一時期いっしょに暮らし、その後逃げられた少女がいたという。アドリアンは父親が死ぬ直前に「ウアンタで女を捜せ」と言ったのを思いだし、その話に取り憑かれたようになる。兄にその少女の話を語ったという元兵士に話を聞くことから、その少女を探そうと試みるのだが…。

La hora azul

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