068 内藤正典『絨毯屋が飛んできた−トルコの社会誌』

トルコ最西端に位置する、エーゲ海に面した街チェシュメでの生活を軸にトルコ社会をつづる。トルコ入門としては前に読んだ同じ著者の本のほうがわかりやすい。こちらもちくまプリマーブックスなのでわかりやすいことこの上ないのだが。
家族第一で、家族の罪はなんとしてでも守り通そうとすること、ただし不倫など家族の恥になること(ちょっと表現が違ったと思う)に対しては最悪殺すこともありうること。ドイツの映画「愛より強く」で、ヒロインがスキャンダルに巻き込まれたとき、家族は彼女の存在を抹殺してしまう。実際に殺しはしないが、写真はすべて焼かれる。あの映画も支配的な父親から逃れるとかそういうのもあったと思うのだが、子供の人格は認めない強い父というのは秩序維持には効果的なのかな?子供が一人前の人格を獲得するのは自らが家庭を持ったとき以外にはありえなかったりするのだろうか。
トルコ行きにイタリアのバリやアンコーナから船に乗ってチェシュメへ、というルートがあるらしい。しかし船が古すぎて停められるとか、怖いよ…