066 木内信敬『ジプシーの謎を追って』

なんか、一気に何冊も読みすぎてわからんようになった。
ジプシーはスペインにたくさんいる。私の住んでいたところにもたくさん住んでいた。私が住んでいたのは郊外に差し掛かるところで、家賃が安いため移民と学生が多く住んでいたらしい。あと、お年寄りも多かった。近くに川があって、そこを超えるとジプシーの街だったらしい。肉屋に行ってジプシーらしき女性(化粧が濃く、絶対に足を出さないからそれと分かる)が肉を何キロも買っているのを見たこともあった。ジプシー地区を通りかかって、ラジカセで音楽をかけて大声で歌っているのに出くわしたこともあった。また、週に一度開かれる露天(mercadillo)ではジプシーが主役で、バッタものの洋服、靴、安価な衣料品(靴下、下着類はよく買った)、にんにく、毛皮などを売りさばいていた。彼らはおんぼろのワゴン車のようなものにテントと商品を積み込んで現れて、市が終わるとどこかへ去っていく。市内では曜日ごとに何箇所かで露天が開かれているらしいので、毎日いろいろなところへ出かけているのかもしれなかった。同居人のスペイン人二人も露天は愛用していたが、ジプシーとは一線を引いているようだった。ジプシーの多く集まる場所は治安が悪いという認識があるらしい。ジプシーは学校へ行かせないという話を聞いたこともあったな。
スペインのジプシーは放浪はしていないように見えた。あの人たちが何らかの運動に関わっているのかも不明である。差別の対象になっているといえばそうで、スリなどで槍玉にあがるのはジプシーかモロッコ人みたいである。ただもうあまりにも普通にいるので特別気にしていないように見えた。互いの交流はもしかしたらなかったかもしれない。スペインにいる間気にしてはいたのだけどよくわからないままだった。
本の内容と何の関係もない話になってしまったが、非ジプシーの書いたジプシー文学、という問題でイギリス人作家ジョージ・ボロウ(George Borrow)の名前が出ていた。初めて知ったのだが、スペインのジプシーについての本も書いているらしい。日本では翻訳は出ていないとのこと。Project Gutenbergでたくさん著作を読めるようだ。

ジプシーの謎を追って (ちくまプリマーブックス)

ジプシーの謎を追って (ちくまプリマーブックス)