013 Bowles, Paul. The Sheltering Sky

やっと終わった。続いて別の作品を読んでいるけどへこむ。しばらくボウルズは封印しようと思う。
忘れないうちに（いわゆるネタばれがあります）。

みもふたもない言い方をすれば異国の地で自業自得で崩壊する西洋人の話なのだが、キットは崩壊以降のほうが自由で、楽しく生きているようにも見える。今読んでいるUp Above the Worldもそうだけど、ボウルズは頭がおかしくなった人の状態およびそういう人が見る世界を描くのに長けているように思う。
アルジェから出発して最後は現在のマリにまで行き着く間に、砂漠に飲み込まれるように理性を失っていく。文明から遠く離れるほどに理性もどんどんなくなっていく。
物語の始まりのころに、ポートはキットに対して「空の向こう側にあるものを空が隠している」といったようなことを言うが、それを最後近くの場面で、キットはおぼろげに思い出す。

Before her eyes was the violent blue sky---nothing else. For an endless moment she looked into it. Like a great overpowering sound it destroyed everything in her mind, paralyzed her. Someone once had said to her that the sky hides the night behind it, shelters the person beneath from the horror that lies above. Unblinking, she fixed the solid emptiness, and the anguish began to move in her. At any moment the rip can occur, the edges fly back, and the giant maw will be revealed.

最後まで読み通してこれは好きな話であったと確認した。もう一回、読む機会を持てればいいな。

The Sheltering Sky