笹野洋子『「読んで身につけた」40歳からの英語独学法』

「読んで身につけた」ということで、「外国人と楽しくおしゃべりしたい!」という話ではないことは想像がつく。著者は夫の転勤でブラジルに何年も住んだりオーストラリアに住んだりと、日本にずっといるしかない人よりはかなり恵まれた環境にあったわけだけど、著者はそれが元で英語を身につけたわけではなく、NHKの語学講座を聴く前に各スキットを五十回読んだりしている。五十回ですよ。語学学習本はよく読むのだけど、回数と時間とは必ず必要で、もはやそれは体育会の世界であり、とにかく数をこなせる人が最後には勝つと思い知らされる。
五十回も読めば頭に定着するというのは納得なのだけど、変な発音が身に付かないのかなというのが気になるところ。自分の声でも五十回聞いていると耳に残ってしまう。最後に通じるのは発音よりも堂々とした態度だけど、発音のよさはとりあえずの「はったり」として大事だと思う。