ロンブ・カトー『わたしの外国語学習法』

一昨日立ち読みしたら内容がよすぎたので図書館で借りた。外国で外国語と格闘してやっとヒントを得られたようなことが、この本には全て書いてあった。前回読んだとき、何を読んでいたんだろう?
役立ちそうなことをメモ。

  • 発音について
    • 苦手な音の組み合わせを練習するとき、現実には存在しない架空の語で行う(例:ve-be, vo-bo...など)。練習するのはいつでもいいが鏡の前でするのが最高。
    • 音声上の誤りに自覚的に聞き入ること
  • 単語について
    • 単語帳を自分で作り、飾りなどを工夫すると覚え込みやすい。また、辞書に載っている反意語や類義語なども随時書き込むとよい。ただし凝りすぎないこと。
    • 覚えやすい単語は、具体的なものを表す名詞>感じ取ることの出来る性質を表す形容詞>具体的な行為を表す動詞>抽象的な内容を表す動詞の順。
    • 似たような形で意味の違う覚えにくい単語群は、まとめて様々な組み合わせの文を作って覚えるとよい
    • 単語を覚えるときには安定した単語の組み合わせで覚える。例えば、「障害」を「除去」と共に、「役割」を「演ずる」と共に。
    • 必須単語
      • 会話相手との接点を作り出す言葉(あいさつ、元気?、ごめんなさい、はい、いいえ、など)
      • 決まり文句(わたしは日本人です、英語は話せません、すみませんが、美術館はどこにありますか、など)
      • 代名詞
      • 場所、方向、時間、量を表す言葉
      • 動詞ある、いる、できるの全活用
      • 1から100までの数字
      • 時刻に関する表現。何時、今日、昨日、あした、曜日、月
      • 重要動詞と助動詞:行く、欲する、探す、見つける、来る、出発する、到着する、始める、座る、立つ、食べる、飲むなどなど。戻る、言う、買う、なんかも入るかな。
      • 学習者にとって大事な名詞類
      • 形容詞類:高い、安い、大きい、小さい、別のなどなど
      • 七色
      • 助け船的表現(というのも、実は、わたしが言いたいのは…など間をつなぐための表現)
      • 外国語について聞かれたときのための決まり文(大学で四年間勉強しました、など)
      • 詰め物用語句(かなり、きっと、非常に、もちろん、つまり、確かに、主に、おそらく、やはりなど)
  • 辞書について
    • 何か調べたい単語があるとき、英英や西西を初心者から活用すべきである。例えば、ドイツ語で「正確な」を調べたいとき、似たようなexaktを引いてみると、より一般的なgenauというのがそこに現れる。
    • 単語を単語帳に書き込むときには、この単語が他の単語と結びつくときに必要な情報(前置詞、接尾語、語尾)も書いておく。例文全文を書き写すことはない。
  • 外国語で話すとき
    • 誤った外挿の多くは、母国語の干渉ではなく、最もよく身に付いた外国語の干渉によって起こる。
    • ぴったり来る表現が思い出せなくても、話している外国語の中でそれに近い表現を見つけ出して話す
  • 著者の外国語学習法
    1. まずは出来るだけ詳しい辞書を入手
    2. 辞書で、民族、国家、都市の名称、専門用語などを調べ、文字と音における関係をざっと見る
    3. その外国語の教科書と文芸書を購入。
    4. 教科書は練習問題を解き、自分でどんどん進める。書き込めるように練習問題を解くときには間を開けて書く。
    5. 文芸書を読む。
      • 一回目には、文脈から内容の分かった単語だけを書き出す。
      • 二回目、三回目でそれ以外の分からなかった単語を書き出すが、全てを書き出す必要はない。自分にとってなじみのある語や概念だけで結構。書き出した単語にはそれぞれ関連する語などの情報を書き込む。
    6. ラジオ放送を聞く
      • 数カ国語で発信されているニュースなどを聞く。日本だったらNHKかな。
      • 前もって知識を仕入れるために、母国語か、よく知っている他の外国語でだいたい同じ内容のニュースを聞く。
      • 分からない単語があったらノートに書き留め、すぐに辞書で調べる。調べたものは数日後に正式な単語帳に記入。
      • 週に一度番組をテープに録音する。全ての情報が得られるまで繰り返し聞く。
    7. その外国語を教えてくれるネイティブを探す。
      • 女性がよい
      • 作文を自分でこなし、それを見てもらう。はじめは自由に知っている単語や文型で練習し、その後翻訳に取りかかる。
    8. 成句や熟語表現は一人称から三人称まで単数で書き出す。

どれも実際にこなすには骨が折れそう。でも、これくらいしないと、外国語はものには出来ないのではと思う。

わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)

わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)