『批評理論』*1

特定の理論の概説+その理論を用いて実際にテクストを読解、という構成。フェミニズム批評とニューヒストリシズムと精神分析の項は理解できなくて完全に頭が死んでしまった。
どの批評理論を用いても、まずは作品を精緻に読み解いていく、というのはおんなじ。以前ある研究発表で、作品の分析に際してまるで登場人物がその辺を歩いているかのような扱いをしていて、それを聞きながら虚構と現実との境が無くなってしまって自分の立ち位置が分からなくなったときがあった。それは、批評理論を用いてどうこう、というものではなかったので、理論で切っていくものなら違う印象を受けるのだろうか、と思ったけどそうでもないようだ。
そもそも、文学作品をそれだけで完結した一つの虚構である、ということが古めかしい考え方であるのだが。しかし、文学が政治とか歴史とかの中に位置づけられ(また逆もあり得る)て読み解かれるときにも、登場人物の心の動きなどに関する分析は書物の中に自足するような読み方とあまり変わらない姿勢になるのが意外。