神経衰弱ぎりぎりの女たち

アルモドバルの出世作、なのかな。日本映画を見たあとだとより内容が分からないように感じる。
大学の図書館で見て以来、10年ぶりの鑑賞。睡眠薬入りガスパチョと、そのせいで淫夢を見る、という部分以外全部忘れていた。
あらすじ:
女優および声優のペパは声優のイバンと同棲していたが、一週間ほど前に別れた。イバンは旅行に行くので身の回り品を詰めて用意してくれと留守電に残す。妊娠のわかったペパは、何とかイバンと話をしようと奔走するがつかまらない。そんな折、ペパの友人カンデラは、シーア派テロリストと関係を持って彼の仲間も匿ってしまい、警察に追われると大騒ぎしてペパの元に逃げ込んでくる。そこにペパのマンションを借りたいと偶然イバンの息子カルロスとその婚約者マリサがやってくる。カルロスはカンデラに一目惚れ。マリサは暇をもてあまして、ペパがイバンにのませようと作った大量の睡眠薬入りガスパチョを飲んで眠ってしまう。カンデラのために女弁護士をカルロスに紹介してもらったペパは、その弁護士こそがイバンの新しい愛人と知って彼女に平手打ちを食らわせて立ち去る。ペパの留守中、カルロスはカンデラから得た「ストックホルム行きの飛行機がテロリストによってハイジャック予定」という情報を警察に告げる。ペパの家に警察官とイバンの昔の恋人でカルロスの母親であるルシアがやってくる。警察官にガスパチョを飲ませて眠らせようと画策するペパとカルロスとカンデラ。警察官に尋問を受ける中、ペパはイバンと弁護士が乗る飛行機がまさに例のストックホルム行きであることに気づく。ルシアはイバンを殺すしかないと拳銃を手に恋人アナに会いに来た男を脅し、男のバイクで空港に向かう。それをアナと共にペパはタクシーで追う。間一髪でルシアがイバンを殺すのを妨害したペパは、イバンにもう一度話そうと言われるが拒否して家に戻る。家では警察官が眠り込み、カンデラとカルロスは抱き合って眠っていたが、マリサが目を覚ますところだった。新しい自分になった気分と語るマリサ。マンションに来たときには処女だったが、誰かとセックスをする夢を見たという。ペパはマリサに処女らしい固さが取れて感じがよくなったと告げる。ペパはマンションを手放すのもやめたと言う。マドリードの夜景を前に、二人は話し込む。
メモ:

  • アントニオ・バンデラス演じるカルロスと、マリア・バランコ演じるカンデラが二人でウサギ小屋の世話をするシーン。あれ、スペイン人には爆笑ものらしい。うさぎというのは性欲旺盛な生き物で、ウサギと言えばセックス。そんなウサギの前でもじもじ話をする二人というのはヤリたくてたまらない、みたいな意味が出てくるっぽい。あれ、でもそれはアルモドバルでも『キカ』だっただろうか。今度『キカ』を見直すときに確認する。
  • 留守番電話を効果的に使った映画だけど、留守番電話が出てきた頃の映画なんだろうか。1988年のスペインで一般家庭(またはちょっとお金のある家庭)ではどれくらい普及していたんだろう。
  • 『セクシリア』にもイスラム教徒のテロリストが出てきていたがこれもシーア派のテロリストがどうこう、という話が出てくる。その手のテロリストが身近なものになったのは2001年の同時多発テロ以来なのでぎょっとするんだが、80年代スペインではそういうニュースがしょっちゅうあったのか?それともあり得ない話、としてモチーフで出てきているだけなのか。
  • 冒頭からローラ・ベルトランのSoy infelizがかかる。これはサンドラ・シスネロスの本を卒論でヒーヒー言いながら読んでいたときに見かけた名前だと懐かしくなる。多分、最初に見たときは、スペイン語をとっさには聞き取れなくて気づかなかったんだろう。中南米の50年代、60年代ヒット曲はスペイン語圏関係をやるときに実は押さえておくべきなのでは?他のスペイン映画ではわからないけどアルモドバルは大好きっぽいし、マヌエル・プイグ読むには多分必須だろう。ラテンアメリカ文学の大物達はみんなあまりにも知識人でブッキッシュなのでこういう曲聞いてるかわかんないけど…。