Wood, Michael. Film: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

映画のことを大づかみに知りたいという私の目的には合わなかった。作品名が怒濤のように出てくる、さらに、映画や写真研究に必須らしきバルト、ベンヤミンソンタグやその他研究者の名前がさらっと出てくるがどれも読んだことがないために内容を追うのが難しかった。映画研究の基礎知識が全然なく、映画も現代のスペイン語圏のものばかり見ているような私には、読み進めるのが苦痛だった。すでに名画、映画研究史上の有名人物などを名前だけでも押さえている人が整理するために読む本なのかも。完全な入門書ではない。amazon.co.ukでの評価は高かった。
この本を読みつつ思い出したこと。「映画を分かるようになるためには中学生ぐらいから夢中になって映画館通いしていないとだめだ」という話を大昔にとある講演会で聞いて以降信じ込んでいたんだけど、それって違わないか。中高生くらいの年でどっぷりはまったことは確かに人格の一部になっているというか、その後に身に付けたことと意味が違うようには思うけど、そのあとでも「映画の見方」を学んで楽しく鑑賞・議論できるようにはなるはずだ。私が発言を誤解している可能性はあって、映画の見方という技法をあとから学ぶことはできても自分で映画の見方を作り出すには中学生くらいからはまり込まないとだめってことなのかもしれないが。私にとっては10年くらい呪いの言葉になっていたのだが、はっきり思い出したこの機会に忘れてしまって、昔の名画から教科書通りにまじめに追って勉強してみようかな。知らんより知ってた方が楽しいはずだし、議論の決まった方を知っていると説明するときに便利なはず。

Film: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Film: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)