Latino/Chicano/-American/

ワインを飲み過ぎて寝れなくなった。
「何とか系アメリカ人」の作家の作品、特に中南米が出自の作家はちゃんと読みたいと思っている。しかし何冊か読んでみたところあまりおもしろくない。興味深いのだけど、私小説っぽいのばかりであるような気がする。貧しいメキシコ人(何人でもいいが)地区の描写、アメリカに来る前に住んでいた場所への郷愁と嫌悪のない交ぜになった感情、半ば神話的な故郷の礼賛、ルーツ探し。文章はあくまでシンプルで口語的。
惨めな暮らしを描きながらも神話的なルーツ礼賛に走ったりしないスチュアート・ダイベックがいちばんおもしろかった気がする。
今思えば、卒論を書くときにNative Sonとか読むべきだったのかも知れない。テレノベラとかのメディア、プイグの文体なんかと深い関係があるのではないかと思って(というかサンドラ・シスネロス自身がどこかで話していたのかもしれない。うろおぼえ)そちらの方面の本は少し読んだのだが、黒人文学のことは全く考えなかった。
カノンの否定とかメキシコルーツの強調とかに気を取られていたけど、アメリカだからこそ書かれたということを考慮してもよかった。ラテンアメリカ文学史にチカーノ等を組み入れるのは無理だろうなあ。
わたしが文学部生だった頃、多文化主義とかポスコロとかが(わたしには)輝いて見えて何冊か読んだ。それからもう十年近く経って、テロがあったりなんやらでそんな気分は吹き飛んでしまい、気づいたらあまりそうしたタイトルの本は見かけなくなった気もする。