080 Vicent, Manuel. Son de mar

ようやく読み終わりました。後半が渡辺淳一の小説のようだった。映画よりは小説の方がよいと擁護するつもりだったのだけど、映画も大幅に端折っているもののあらすじは同じだし特に後半の雰囲気は同じなので忠実な映画化かもと思えてきた。
いちばん違うのは、戻ってきたウリセスはAndreas Mistakisという別人であることだが、これについてはなんだかよく分からないままに終わった。
せっかくなので、あらすじを書きます。
1990年代前半、八月の日曜日、バレンシアのリゾート地Circeaに男女の遺体が流れ着く。男性は十年前に海に出たまま戻らなかった古典文学教師Ulisesと推定されたが、目の色などが生前のUlisesと異なるため議論になる。女性はUlisesの元妻で現在は街の有力者Sierra氏の妻であるMartinaだった。Ulises(と思われる男)はMartinaとの結婚式に着用したスモーキングを着込み、Martinaはシャネルの白いドレスを着ており、まるで二人の結婚式のようで遺体を見た人は美しいとすら感じた。
遡って80年代前半、まだ小さな漁村だったCirceaに27歳の新米文学教師Ulisesが赴任してくる。文学の世界に浸っていた童貞のUlisesは、下宿先のバルに集う漁師たちの昔話や自慢話に耳を傾け、海の幸を楽しみ、Circeaに来て新しい感覚が芽生えるのを感じる。そしてそのバルの娘、18歳のMartinaに心惹かれる。スクーターを買ったUlisesは、Martinaを連れて

Son de mar/ The Song of the Sea (Narrativa (el Cuenco de Plata))

Son de mar/ The Song of the Sea (Narrativa (el Cuenco de Plata))

追記(2011年2月22日)
久しぶりに見直したら要約が途中になっている。
検索したところ、ラプラタ大学のサーバーにSon de marに関する論文が見つかった(Las vueltas de Ulises: el feliz naufragio del lector en Son de mar de Manuel Vicente)。あの作品を精緻に読み込むとは。中身は見ていないのでわからないが、オデュッセウスと並べて論じているようだ。