上野久『メキシコ榎本殖民』

日本民族の拡大を狙い、国内の矛盾の解消を求めて海外への移民が盛んになった明治時代に榎本武揚により推進されたメキシコ殖民。調査不足、資金不足などにより早々に殖民団は瓦解するが、残ったものの中には自力で生計を立て小学校を建てるなど、地元の住民からの尊敬を勝ち取り根を下ろしたものもいた。
明治以前のメキシコと日本との交流から始まり、現在のメキシコにおける日系人の状況までコンパクトにまとまっている。参考文献や註もちゃんとあるから、興味があればここから広げていくこともできるのではないかな。
明治の本って前も読んだけど(何かは忘れた)、大激動の時代で未来をこの手で作っていく、今日本は三流国かそれ以下かもしれないけど、我々には力もあるし他の人々に劣ってなどいなくていつかは、という血気盛んな時代とはどのようなものだったろうか、と思ったりもする。実際は落ちぶれてわけ分からなくなる人もたくさんいただろうし生きやすい時代とは思えないけども。