中島由美『バルカンをフィールドワークする』

マケドニア語の研究をしている著者のバルカン体験記(ではなく、言語学の本なのかもしれないが、そうとは思えない)。ユーゴ崩壊前の留学ドタバタ話から、ロシア留学顛末記、バルカン料理自慢、などなど200ページくらいだけど著者がバルカンの文化と言語地理学を愛しているのが伝わってきてこちらも楽しくなる本。言語学の記述に関しては著者の軽い語り口でもお手上げだが、料理の章がとてもよかった。セルビア風ロシアサラダとかお米の料理とか、どれもおいしそう。本国で食べたらどんなにおいしいだろうかと妄想が膨らむ。料理はその土地でその空気の中で食べるのが一番おいしい。ただバルカンでも郷土料理はどんどん消えて行ってるみたいで、世界の流れなのか。特にバルカンはヨーロッパ志向が強そうだから、トルコの香りのする料理なんてあまり食べたくなかったりするのかな。

バルカンをフィールドワークする―ことばを訪ねて

バルカンをフィールドワークする―ことばを訪ねて