パリについて

パリの凄さは中心街であればたいていどこに行ってもピクチャレスクで全く期待を裏切らないことだと思う。観光地の楽しさというのは、「思いもかけない部分での失望」からくる失笑もある（地元の人はよかれと思って作っている、とんでもない看板やお土産など）と思うし、あるいはごく一部を除いては本当に何も見るものがなくて、呆然としながら暇つぶしのため地元の人のスーパーで無意味に買い物をする、とかとういうこともあるけど、パリでは全くない。あまりに完璧な風情に文句のつけようもなくて、そこで逆に地元の人しか知らないパリを探索して優越感を得ようとしたりするのかもしれない。日本ならそれは京都なのかもしれないが、多分京都以上。旅行で行く限り、何もかもが期待を裏切らない上に、さらにそれ以上のものを提供してくれるってのは他には知らない。しかも、印象に残る風景はあるのに、そこは決して自分だけのものにはならない。上手く言えないけどこのことがあまりパリを好きになれない理由なんじゃないかと思うのだ。一見さんに対する完璧な姿と住んでみて触れる姿の落差がもの凄く激しいところなんだろうかとも思う。
不思議なのは、私はパリよりも、オーベルニュの田舎の方がよほど楽しく過ごしたのに、写真はろくなのがないってことだ。