テッド・チャン『あなたの人生の物語』

表題作を含む短編集。私は数学や物理などの世界が全く分からず、それはSFを読むときに足かせとなることが多い。多分ちゃんと理解できることはまれである。この短編集では数学や物理の式が重要な役目を果たすし、そういった思考法は私には何の縁もない。でも私の方法とは違う見方で物事を捉えている人の視点を少しのぞける、という点ではSFを読む楽しみでもある。*1
短編だから多少異質な世界でも何とか読み切れるし、現代から、近未来、異世界、など様々な舞台設定の粒ぞろいの短編が揃っているのであまりSFと縁がなさそうな人もぜひどうぞ。と珍しく薦めたくなった。言葉に興味がある人も楽しめると思う。

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

*1:というのをこの本を読んだときに強く感じたのですが、それって同じSFと見なされていてもヴォネガットは感じたことがないし他のでもそうかもしれない。