大塚英志『「おたく」の精神史-1980年代論』*7

なんとなく気恥ずかしいのでカバーをかけて読む。適当な感想を徒然に。
この本に即して言えば高校時代(1990年代の終わり頃)に私が新鮮な気分で消費していたサブカルチャーは1980年代的なものであった(いとうせいこうノーライフキング』とか岡崎京子のマンガとか)らしい。あと、著者と両親は五歳しか違わないけど、全く別の世界に属しているように思えた。五歳くらいというのは、世代が全く変わってしまうのだろうかと思ったが、団塊の世代についても述べていたのでそんなことはないのだろう。1970年代論は読んだことがないけれど、たぶんそっちだったら両親と重ねられるのかもしれない、と思う。
関わった仕事を回顧することでこういうかたちで1980年代のサブカルチャーのまとめができる、ということは特権的なものを感じた。と同時に、個人的な回想が随所に折り込まれてエピソードがつながることで、この本の読みやすさが生まれているのだとも思う。実際に体験したエピソードを語る部分はやたらとおもしろくて、家が見つからないとか宮崎事件で被告が逮捕されたときに電話が殺到した話とか、岡崎京子との思い出とか、あげるとけっこう切りがない。