Reading Clubに参加してみた

イギリスでは一般的であるらしい読書クラブ。参加しているパートナーの会がやっていたので参加してみる。外国人の多い会だから、きっと英語に不自由な人が私以外にもいるはず、と期待して行ったら、英語圏出身者がほとんどを占めていた。残りの二人も、ネイティブではないけれど長く英語圏に住んでいるらしい。しかし明らかに英語が怪しい私を気にかけてくれたのでありがたかった。
今日のお題はジョイスの"The Dead"。進行は、発表者と思われる人がレジュメをまとめてきていたのをざっと説明したあとはほとんどフリートーク。一人かなりおしゃべり好きっぽい人がいて脱線気味だったが、わりとちゃんと作品について話していた。The Deadはネイティブが聞いたら大体複数の死者を思い浮かべるらしい(内容のせいもあると思うが)。一人かなりまじめに読み込んでいる人がいて、その人は3という数字が出まくるのを気にしていた。カトリック(三位一体?)と関係あるのかも?という話も出たがそれについては時間もなかったし特に追求することなく終わった。あと、雪のモチーフは何なのか?というのも出ていたけどそれもそれほどは広がらなかったかも。
一番盛り上がったのは、アイルランドジョイスが離れて二度と戻らなかったこと、また「使者たち」というタイトルから連想される、過去の世代の話を自らのアイルランドルーツに絡めての連想、そこからのアイデンティティ問題だった。みな元々育った国から離れ、多くがここに永住するようだ。アイルランド移民のアイルランド人としてのアイデンティティが数世代経っても強固にある話、自分の子ども達がどう育っていくかについて、など話が広がっていた。作品自体について読み込むのも楽しいけど、こうして連想が広がっていくのも楽しみなんだろうな。
ゲール語の使用強制やアイルランド愛国者についても興味深かった。イギリスびいき、イギリスかぶれの人に対するWest Britonという蔑称があるらしく作中で使われていたのだが、それに絡めてゲール語教育や、アイルランド絶対主義みたいな友人の話が出ていた。
その他、「17歳で死んでしまった昔の彼氏に勝てるわけがない。一番美しいときに死んでしまったのでその後どうなったか見ることもないし、ロマンチックだから」みたいなことを皆さん言っていてそれも印象的だった。
私は何も発言しなかったのだが、ここでざっくり一行で感想を書くと、Gabrielの行動や心境にいたたまれなくなったというのが一番大きい。使用人の女の子にちょっと気の利いたことを言おうとして失敗し、親族の女性達にはからかわれがちで、アイルランド主義者には公衆の面前でイギリスかぶれとバカにされたのを、スピーチで挽回していい気分で、奥さんともこれまでになくいい感じになると信じていたのにいきなり昔のロマンチックな恋の話を告白される…。
直前に読むことになったので、ネットに落ちていたオーディオを活用した。多分本気で読書に取り組めばオーディオブック以上のスピードで読めるのだろうけど、耳から音を聞いた方が楽しいしとにかくその間は本が進むので、単に流し読むよりもいいように思った。今後のブッククラブにはこれを活用したいけど、オーディオブックはけっこう高いのでそれが迷うところ。図書館にあればいいけど、あるとも限らない。大体一冊で18ポンドくらいはしてしまうのでなかなかの出費になってしまう。