71 堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』

アメリカに行って感じたことの裏づけが取れたような気がする。以下メモ。
食が異常に貧しいってのはなんか間違っている。途上国の子供が搾取されて安い服飾品が出回るとか、そういう話だと正直ぴんと来ない。しかし、グローバリゼーションとか自由競争とかの果てが、世界中の食があのスタバやあのダンキンドーナツマクドナルドや、スーパーに並ぶ全く食欲の沸かない何かになってしまうことだとしたらそれは正しい方向ではないのではないかと思ってしまうのだが。日本のファーストフードでも殺伐とした気分になることがあるし(特に東京の)、不衛生な店でまずいものを食べる不愉快な経験とかもあるのだけど、なんだかそれとは違う殺伐さがあったように思うんだよなあ。スタバやタリーズなどのチェーン店によく行っていたがもう行く気がしなくなった。あんな店を潤わせるならおしゃれでもおいしくもない喫茶店のほうがいい…。
ホワイトソックスの試合を見たときに、試合前にパラシュート部隊のパフォーマンスと、国歌斉唱があった。前者はその週末に行われるシカゴ米軍ショー(最新の戦闘機による曲芸飛行などを披露)の宣伝であり、後者は絶賛公演中のミュージカルの宣伝(その俳優たちによるアカペラ国歌斉唱)であった。何もかもが経済活動に組み込まれており、効果的に宣伝が行われて、さらにそれがどこまでもあっけらかんとしている。わたしがあほなんかもしれんが、あまりにわかりやすくて笑っちゃうなーと思いながら、アメリカ人じゃないのにけっこう気分が盛り上がったりした。子供の頃から球場に通ってああいうの見てたら愛国者になりそう。球場だけじゃなくいろんなところで行われているんだろうし。
本の内容と関係なくなってしまった。「自発的に」戦争に参加せざるを得ない状況に落ち込む可能性があることそしてその行き着く先を知るのは、悪いことではない。

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)