佐野眞一『旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三』

宮本常一は人間としては弱いところがあって、女性問題もあったようだし家族にはかなり迷惑をかけていたようだがそれがあっても妻が最終的に許してしまうような魅力のある人だったようだ。何かに徹底的にこだわって追求できる人だけがすばらしい業績を生むことができることがよく分かる。「何事にも、そつなく適度に」てのは幸福に生きるにはいいことかもしれないけど何かすごいことにはつながらないのかも。
渋沢敬三について書かれた部分は多くがこの間読んだ渋沢家三代と被っていた。渋沢敬三については、彼のみに関する単著を読んでみたいけど近所の図書館には置いてないようだ。
あと軍国主義化してから敗戦までのさまざまな分野での熱狂、というのは追ってみたいと思う。宮本常一渋沢敬三も、熱狂的な軍国主義者ではなかった、ちゃんと行く末を見据えていた、というところがポイント高いわけだけど、「熱狂してあとでもみ消しに必死」ぐらいのある意味普通の人々を知りたい。結果的にいい悪いは別にして、その当時日本の領土が拡張したり戦争に勝ったりしたら、旗までは振らなくとも確実に高揚感は感じたんじゃないかと思う。

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三