先月三週間ほどドイツに滞在した。ドイツの印象はぺらぺら、だった。その魅力のなさが、戦争でずたずたにされたあげく、「愛国心」を持つことを禁じられたことにあるのではないか、とも思った。フランス人のショービニスムには正直うんざりすることもある。しかし、あの猛烈な誇りと、アメリカなんかくそったれと思うその精神があの国を多少なりともおもしろくしている部分はあるのではないかと思う。ドイツにもいろいろな顔があるのだろうが、声高に「ドイツ最高!」と言えないことは、あの国を美しく、秩序があるが無味乾燥な印象を与えるものにしているのではないか、とも思うのだった。