帰国

旅行から帰ってきた。長い長い一月の旅。楽しいことも辛いことも、いろいろあった。
スペインに一年二ヶ月ぶりに行って、友達といろいろと話をした。スペイン語が錆びついているかと思いきや単語の量が増えているのでむしろ複雑な話は理解できるようになっていた。そしてドイツ人の友達より私のほうが単語を知っていた。前期にスペイン語ばかりやっていたのだから、当たり前だけど、それでも少しうれしい。スペインにいた頃のフィエスタ三昧よりも深刻な話やスペインの現状みたいな話が多くて、一年でわたしたちそれぞれに起こったことやなんかを思ったりもした。ドイツでも、あの特別な時間から特に人が変わったなんてことはなくても、それぞれ将来について悩んだり恋愛沙汰で悩んだりドイツ政府にうんざりしたり、それぞれ自分の国で、退屈で変化のない勉強三昧の日々を送っているようだった。あの数ヶ月は誰にとっても特別な時間で、何をしてもそれが特別な意味を持ったけど、今はそうではないということをはっきり知って、もう少し日本でもがんばろうか、とも思ったりした。
帰りにはトランジットでシンガポールの街に出てみた。空港から中心地への道のりはきれいに整備されていたが、たまに十人くらい荷台に載せた軽トラックが走っていくので不思議なかんじだった。ショッピングモールは豊かそうな華僑であふれていた。一方、リトルインディアに赴くと、ごみを捨てたら罰金、という法律があるはずなのにごみが道に落ちていた。政府がさじを投げているのか構っていないのか?お祭りだったので特別かもしれないが、ショッピングモールの雰囲気とあまりにも違いすぎる。「シンガポールで最高に安い店」が何件もあり、大衆食堂でカレー料理を人々がぱくつき、ヒンドゥーやタミルのCD、DVDが大量に売られており、民族衣装やそれに合わせるアクセサリーを人々が買い求めていた。雑誌もインドのものを売っているようだった。シンガポールにもファッション誌はあるけど、空港の本屋で見た限り、ELLEとかVOGUEとかのシンガポール版か、中国語の雑誌ばかりで、シンガポールオリジナルの雑誌にはシンガポール人も登場していたけどみな中国系だった。どうなっているんだろう、と思ったけど多文化といってもそういうのが現状なのかもしれない。シンガポールは買い物好きにはいいところだと思うしエスニックタウンはたぶん他のマレー系とか中華街も楽しいだろうから、トランジットで降りてみるのはいいと思う。