トンマーゾ・ランドルフィ『カフカの父親』

実は伸縮自在のゴム人形(要はダッチワイフ)だったゴーゴリの妻の話、完璧な犯罪に一点の不安材料を見つけたがために間抜けな形で破滅の道を辿る殺人犯、オペラ歌手の声の味、匂い、色、質感について綴った論文、先祖伝来の宝刀を手にしたおかげで不幸になる男、などなど変な話ばかり。イタリア語でカルヴィーノ編纂の全集が出ており、カルヴィーノの手からなる解説も付いているらしいが、特に意味について考えなくても変な話を心ゆくまで楽しむだけでも十分おなか一杯になる。英語版の作品集がカルヴィーノの解説も付けているらしい。

カフカの父親 (文学の冒険シリーズ)

カフカの父親 (文学の冒険シリーズ)