最後の庭の息子たち

原題はLos hijos del ultimo jardinでそのまんまである。海外の映画にはとても凝った題が付けられることもある一方、何の飾りもない邦訳ってこともあるんだな。「最後の庭」ってのはアメリカの最後の裏庭ってことか?
フェルナンドがボリビアの現状に憤って取る行動に至るまでと、その直後からの出来事が交互に映されるので始め戸惑う。そしてカメラワークがあまり洗練されていない印象を与える。ドキュメンタリーっぽくする演出なのかはわからない。
都市ではなく、自らの共同体に住むインディオたち、デモに参加する人々、都市の不良、先住民の先生に夢中になるお金持ちのお嬢さん、中産階級だが家が差し押さえられる寸前の主人公、汚職政治家とボリビアのいろいろな階層の人が出てくる。その中では、アイマラ文化、先住民の文化が持ち上げられすぎてるんじゃないかな、と思った。
不良二人組の格好が、スペインで住んでいたアパートのそばのネットカフェその他にいつもたまってた不良そっくりであった。あと金持ちの娘はキオスコのおばさんに似ていた。みんなおそらく南米からの移民である。また、映画の中で、金を手に入れたい不良が「これでアメリカでもヨーロッパでも行ける、マイアミもオーランドも女連れで!」と騒ぐシーンがあるが、Jaime Baylyの本でも主人公の周りの人間(金持ちばかり)がマイアミやオーランドに行き、主人公もマドリードに行っていた。アンデス諸国の人がアメリカやヨーロッパを見る目、そしてスペインでの南米の人に対する扱いなど比べて思い出した。
何が言いたいんだ、という感じですが、ボリビア映画で地味だし内容も政治的で楽しそうじゃないけど、意外におもしろいので南米に興味がある人におすすめ。折しもボリビアではエボ・モラーレスが先住民初の大統領になり、石油、天然ガスの国有化などで国際的に物議を醸しているので題材としては熱い。フェルナンドとその仲間たちが愉快で、深刻なはずなのにいろいろとなにかがおもしろく、楽しめると思います。