東京到着のアナウンスで目が覚め、外を見ると整然と大きなビルが並ぶ風景が見えた。まだ人気のないビル街は、線と線が交差する様からして、これまで住んだことのある日本の都市とは全く違う種類の都会であると感じた。今回は、東京をこよなく愛する友人H不在の東京への初めての旅で、彼女があんなにも好きだというのも少し分かった気がした。
肝心のビザは最悪の展開で、書類の不備を指摘され、半泣きで抗議するも「これはあなたのためを思って言っているのよ」とやたらと恩着せがましく断られてしまう。不備があった書類に関する説明は、かなり曖昧な書き方で勘違いしても仕方がなかったと思うのだが、不備は不備なので全ての書類を突き返される。揃えて再送、とのこと。ショックで書類を落としたりしながら大使館を後にする。
現在東京在住のYさんとお昼を食べる約束をしていたけどまだ時間があったので、せっかくだからビザのことを聞こうとポルトガル大使館へ。スペイン大使館はお屋敷だったが、ポルトガル大使館はビルの四階と五階。整骨院か何かと同じビルで、大使館というより会社の支店のようだった。インターフォンで用件を告げるとカギを開けてくれて、入れる仕組み。学生ビザでスペイン長期滞在の後ポルトガルに入る場合は、直接入ると問題があるので、シェンゲン協定を結んでいないイギリスかスイスに行ってから行くといいですよ、とのアドバイスをもらう。その後、文化部の部屋にも行って外国人コースのパンフレットをいろいろと見せてもらう。とても親切。「なんでも聞いてくださいね」と名刺までもらう。大使館はその国の顔でもあるし、やっぱり親切だと全体のイメージがよくなると思うんだけどスペイン大使館は・・・
時間になったので六本木駅へ。六本木ヒルズの中のバリ料理屋でお昼。Yさんの写真を撮ろうとデジカメを持っていっていたのに、すっかり撮り忘れていた。ごはんを食べながら、大学周りの宅地造成事情や、留学事情について話す。出会ったときは、まさか私は今の大学に行くとは予想もしておらず、先輩後輩となるとはびっくり。しかしこれもまた楽し。ビザ拒絶のショックでぐったりしていたのがかなり癒された。
地下鉄で分かれて、品川へ。お土産に東京ばな奈を購入し、新幹線に乗る。一人になってぐったり席に座ったら、大使館の感じの悪さだけでなく、ビザはすぐに出ますよ、という先生の無責任な発言とか、急ぐようにと念を押したにもかかわらず全く急いだ気配のない先方の大学の対応とか、もろもろ悔しくなって涙が出てきた。静岡県に入るくらいまでしばらく泣いていた。こんなことで泣いているのはアホだ、と思ったけど止まらず、しかし寝たら涙も止まって本も読めたので疲れもあったのかもしれない。
八時前に大阪に到着、スーパーで食材を買って帰宅。疲労困憊。